前を見ながら足元忘れず  2017年12月01日

 「後生大事」とは物事を必要以上に大事にするという意味で使われますが、本来は「後の世の安楽を願うことを大事にする」という意味です。私たちのこの生涯の後に、安楽である極楽浄土に生まれる事を大事にするのです。

 家を買うために節約してお金を貯める。事業を成功させるために遅くまで仕事をする。健康を維持するために運動をする。何かのために、日々努めている方はたくさんいらっしゃると思いますし、生き甲斐とも言えるでしょう。ですがそれは、私たちのこの生涯の中でのことです。同じように、この生涯の後のことも考えて欲しいのです。お檀家さんの中には「今毎日が充実しています。亡くなった主人には『もうちょっと待っててな』といつも言ってますんや。せやけど、会いたいから毎日南無阿弥陀仏は称えてますよ」と笑顔で私に仰います。大切な方と再会するため、お念仏のある毎日を過ごしていらっしゃるのです。法然上人は「極楽浄土に生まれたいと願うならば、極楽浄土に生まれようと心に定めて、日々お念仏を申しなさい。」とお示しくださっています。心に定めて念仏を申すだけで私たちの願いが叶うのです。日々お念仏のある暮らしを過ごし、そしてこの生涯を充実させるために務めてまいりましょう。

 吹く風が冷たくなり寒さが増してきました。今月で今年も終わりになります。共々にお念仏のある日々を送りつつ、体調を崩さないようお身体を労り、無理なくお過ごしください。

合掌