ありがとう  2016年03月02日

 生まれて間もない私と祖父の写真です。私の大好きな写真です。祖父は、無口な人でした。ですから、あまり会話の記憶がありませんが、妹と喧嘩をした時の「うるさい」と怒鳴られた記憶は覚えています。私にとって祖父は「無口で怖いおじいちゃん」でした。

祖父

 25年前、祖父が亡くなった当時、写真を見つけ、祖父が、私が生まれた事を大変喜んでくれたのを知りました。祖父も父も養子ですので、数十年ぶりに宗念寺に男の子が誕生したと喜んでくれたそうです。そうとは知らずに、私は「無口で怖いおじいちゃん」と思うだけでしたので、この写真を見た時、嬉しい反面辛くなったのを覚えています。もっと話をしておけば良かったと、後悔もしました。
 その後、僧侶となった私は、極楽浄土の存在を知り、大切な亡き人と再会できる場所があるのだと知りました。お念仏を申せば、阿弥陀さまは極楽に救ってくださるというみ教えに、私の心は救われました。祖父と再会できると思えたからです。さらには、いつも見守ってくれていると解った時、僧侶になった私を喜んでくれているのではないかと、想像しました。
 当時は幼く何も伝えられなかった私は、お念仏を称え、極楽に生まれたいと思っています。祖父と再会して、色んな事を話したいと思っています。

 私の第一声は「ありがとう」と決めています。誰しもが、お念仏を称える暮らしをしていけば、大切な亡き人に再会でき、もう一度想いを伝えることができるのです。