こだわり捨てて心のびやか  2017年04月03日

 こだわりの意味が「追求する」という意味で使われることが多いですが、「必要以上に気にする、気がとらわれる」という意味が本来あります。

 法事を勤めるにあたり「お供え物はどうしたらいいですか?」と聞かれることがあります。特に初めて法事を勤める方にとってはわからないことだらけですから、身近な人に相談することが多いようです。すると、「あれはしなければならない」「これはしてはならない」など多くの助言を頂き、必要以上にこだわってしまうようです。
 私は「できる範囲で構わないのですよ。生前好きだったものを1つお供えするのでも構いません。」とお伝えします。そして「お供え物も大切ですが、まずはお気持ちが大切ですよ。あれもしなければ、これもしなければとなってしまっては、今度は法事を勤めることがおっくうになってしまいますよ。そうなっては本末転倒です。皆さんに集まって頂いて、一緒に亡き人のためにお念仏を申す。そして、極楽での再会を願う。これが一番大切なのです。」とお伝えします。
 当日、「和尚さんに聞いて良かった。主人の好きだったコーヒーもお供えしました。できる範囲で。」そう言って、すっきりしたお顔で一緒にお念仏申してくださいます。

 気がとらわれてしまうと窮屈な考え方になってしまい、本当に大切なことを見落としてしまいがちです。必要以上に気にしないで、大切なことを見ることができれば、心すっきりとのびやかに過ごせるでしょう。