心の弦  2018年05月01日

 弦楽器の弦を強く張ると簡単に切れてしまいます。逆にゆる過ぎると音は響きません。調弦を初心者が行うときは、専用のチューナーを使うと正しく調弦できるそうです。チューナーの無い心の調弦、難しいですね。

 仏教の原点は、苦しみからどうすれば抜け出せるのか?ということです。それを解決するために、修行なさったのがお釈迦さまです。お釈迦さまは、6年間、肉体的・精神的に痛めつける苦行を行いました。それが正しい方法だと思って。しかし、間違いに気が付きます。そう気が付いてから、苦行を一切行わず、かといって怠けずに修行を続けました。その結果、苦しみの元凶は執着(しゅうじゃく)であり、それがある限り生死を繰り返しながら、苦しみを受け続けると覚られました。以後、お釈迦さまはあらゆる方法で、苦しみから解放される教えをお説きくださったのです。ですが、お釈迦さまが体得なさったことを、今の私たちには到底できません。そこで、お釈迦さまは、こんな私たちでも執着から解放させてもらえる仏さまと場所をご紹介くださったのです。それが、阿弥陀さまであり極楽浄土です。阿弥陀さまは永続する苦しみから私たちを解放してくださるのです。

 張り過ぎずゆる過ぎず正しい心の調弦をするには、執着を捨てなければなりません。しかし、そう簡単に捨てられません。そんな私たちだからこそ、お念仏を申すことで苦しみから解放していただける阿弥陀さまのお救いは有難いのです。