「積小為大(せきしょういだい)の精神」をご存知でしょうか?二宮尊徳(二宮金次郎)の教えで、「大きな事を成し遂げるには、小さな事を怠らないで勤める」という意味です。いわゆる「小さなことからコツコツと」ということですね。
私は地道な作業が苦手で、効率的かつ効果的なことに取り組む方が好きです。そんな私が十数年前、先輩僧侶が文章法話に取り組んでいることを知り、軽い気持ちで始めてみました。しかし、それが予想以上に難しかったのです。それまでは作文程度しか書いたことがなかったので、文章の書き方がめちゃくちゃでした。そこで、先輩僧侶や家内に読んでもらい、毎月添削をしてもらいました。
そんな日々を過ごす中、あるお檀家さんから「いい文章。短くて読みやすい」とお褒めの言葉をいただきました。その頃から、幼稚園のPTA会長を引き受けた際には、挨拶を短くまとめられるようになり、また、法話の原稿を書くことも楽になってきました。気がつけば文章法話を十数年続けており、その結果、話すことや文章を書くことが以前と比べて楽しくなっていたのです。花が咲いたかどうかはわかりませんが、少なくとも芽が出てくれたのだと思っています。
「小さなことからコツコツと」今だからこそ、その大切さがよくわかります。お念仏も同じです。日々の小さなお念仏を称え続けることが、たとえ一日10回のお念仏であっても、いずれ極楽に生まれるという大輪の花を咲かせることができるのです。
合掌