歩みのはやさ それぞれ  2018年03月02日

 先日、写経会がありました。1時間の限られた時間、早くに終えられる方がたくさんいらっしゃいましたが、そんな中、あせらずご自身のペースでゆっくりと書かれた方もいらっしゃいました。「良かった、全部書けて」笑顔で仰いました。

 私たちは、ついつい自分の至らない所だけを見て人と比べてしまいがちです。そうなった時、あせったり落ち込んだりして、自分のペースを狂わせます。ですが、能力や性格など人それぞれ、十人十色です。何より大切なのは、ゆっくりでも自分のペースで、一歩ずつ確実に進むことです。お念仏も同じです。お念仏は浄土宗の修行で、日々の積み重ねていく修行です。法然上人は「お念仏の回数は重要ではないですが、怠け心を起こさないように、回数を決めたお念仏をお勧めします」と仰っています。念仏申すこの私が回数を定めるのです。その回数は、ご自身がやれる範囲の回数で構いません。たとえ人より少なくても毎日続けられることが大切なのです。有難いことに、お念仏を申すのに、能力や性格は関係ありません。誰でもできる易しい修行です。日々の積み重ねで、阿弥陀さまが最期極楽浄土へと救ってくださるのです。人の能力や性格に関係なく、お念仏申す人を平等に導いてくださるのです。

 お写経を終えられた感想を聞きますと、「下手な字で恥ずかしいけれど、なんとか書けて良かった」と皆さん笑顔で仰います。私たちも極楽浄土に生まれた時、笑顔で喜べることでしょう。
合掌