ひたすらにまっすぐに  2021年04月30日

 集中すると一つのことに私は取り組めますが、その前段階では目移りや雑念が入り、あちらこちらと心変わりをしてしまいます。ですから、集中するまでに時間がかかってしまうのです。皆さんはいかがでしょうか。

 浄土宗の開祖法然上人は、私たちの心を「凡夫(ぼんぶ)の心は物事を見聞きするにつれて移ろいやすいのです。たとえば、猿が枝から枝へと渡っていくようなものです。本当に散乱して動きやすく、心を静めることは難しいのです」とお説きくださっています。
確かに、「さぁ片づけをしよう」と思っていても、思い出の品が出てくると、片づけそっちのけで思い出に浸ってしまうことがあります。「これではだめだ」と思い直して再開しても、また手が止まってしまうということは、よくあることではないでしょうか。私たちは煩悩を断ち切れずにいる凡夫なのです。断ち切れない煩悩を備えた私たちだからこそ、些細なことにも目移りや心変わりをしてしまうのは当然のことかもしれません。しかし、中には「信じること」をひたすらまっすぐに続けられる人がいらっしゃいます。そういう方こそが脇目も振らずにまっすぐ進み、成果をあげられるのでしょう。

 法然上人は「煩悩を取り除けなくても大丈夫。そのままでお念仏をお称えしましょう」とお示しくださっています。これは阿弥陀様のご意思でもあります。その仰せを信じ、ひたすらにまっすぐにお念仏に励めば、極楽往生という成果をあげられるのです。