弥陀の心に染まる  2021年11月01日

 紅葉がだんだんと始まっています。20代の頃、秋が好きではありませんでした。物寂しく感じていたからです。しかし近年は秋が好きになりました。紅葉を見ると心が和み、あの際立った朱色に強さも感じられるからです。

 法然上人は一枚起請文の中で「ただ一向に念仏すべし」とお示しくださっています。阿弥陀様の不可思議なお力は、もしかするとなかなか信じがたいかもしれません。しかし、どうでしょう。亡くなられた方に対して「いいところに生まれてほしい」と願いはしないでしょうか。そうです。私たちはやっぱり「いいところに生まれたい」と実は思っているのです。浄土宗のみ教えは、いいところに生まれて「ほしい」や生まれ「たい」のではなく、生まれることが「できる」のです。そして、生まれることを可能にしてくださるのが阿弥陀様の不可思議なお力なのです。その思いでお念仏をひたすらにお称えすれば、少しずつ少しずつ、阿弥陀様や極楽浄土への思いが強くなってくるのです。青々とした葉っぱがだんだんと色づくように、私たちの心も少しずつ変化を遂げていくのです。この厳しい世の中で、芯の強さを持てるようになるでしょう。

 「ひたすら」と聞く(読む)と難しく聞こえるかもしれませんが、まずはできる範囲でかまいません。初めから信じ切ってできる人は多くはありません。私自身もそうでした。ですが、少しずつ少しずつお念仏をお称えしていると、思いは変わってくるのです。

合掌