こころの声に耳を澄まそう  2022年05月01日

 30代までの私は「短眠者」でした。寝なくても大丈夫と思い、その時間を有意義に使おうと思っていました。40代の今、寝なくては身体が悲鳴をあげます。休めと身体が反応するのです。今はしっかりと睡眠を取るようにしています。

 お釈迦様は29歳の時、王位を捨てて出家なさいました。様々な修行をなさったと経典にはあります。特に体を酷使する修行は6年続きましたが、ついには骨と皮だけになってしまい衰弱していきます。そんな時、お釈迦様は「このままでは悟りの境地に達する前に命を落としてしまう」と思われたのです。そうして、一切の苦しい修行をお止めになりました。まずは体力の回復を目指し、体調が整ってから菩提樹の下で精神集中である瞑想を始められました。一緒に修行していた仲間は「あいつは情けないやつだ」「あいつとは縁を切ろう」などといって、お釈迦様の元を離れていきました。しかし、そういった声を一切遮断し、ご自身の内なる心へと向き合っていかれたのです。そうしてついにお釈迦様は悟りの境地に達し、仏となられました。仏教の始まりは、己の心に向き合うことです。心を落ち着かせることが大切なのです。決して、自分の身体を酷使して無理をすることではないのです。

 最初は短い時間、テレビやパソコン、携帯電話から思い切って離れてみませんか。外部の情報を一度止めて、ご自身の心と向き合ってはいかがでしょうか。心身共に穏やかになれば、新たな発見があるかもしれません。