
日々、私たちは何かに追われるように生きています。仕事の締め切りや家事の段取り、あるいはスマートフォンの通知。心は常に穏やかになりません。そうして、いつのまにか心も身体も疲れ切ってしまうことがあります。
法然上人は私たちの心を「枝から枝へ移る猿」に例えられました。心は自分のものであるはずなのに、思うように静まらず、次々と移り変わっていきます。そこで「まず一呼吸」です。怒りや焦りが生じた時、一度大きく息を吐き出し、深く吸い込んでみてください。その一呼吸を丁寧にすれば、心は落ち着き今の自分に立ち返ることができるでしょう。一呼吸を大切にするとは、この命を大切にすることにほかなりません。私たちの生は一呼吸の連続で成り立っています。一呼吸を丁寧に扱うことは、自らの命を丁寧に慈しむことに他なりません。それは単なる停滞ではなく、次の一歩をより良く踏み出すための大切な準備となります。そして浄土宗では、この「まず一呼吸」は「まずお念仏」と置き換えることができます。お念仏は、今ここにある私を整え、次の生涯をも大切にする行いです。忙しい毎日の中でも、10回ほどのお念仏なら、きっと誰にでも称えることができるはずです。
「まず一呼吸」で心を整え、「まずお念仏」で歩む先を定めましょう。ほんのひとときをつくるだけで、どちらもすぐに実践できます。小さな積み重ねが、やがて確かな安らぎへと導いてくれるのです。
合掌