願うこころは道をつくる  2018年01月01日

 本年もよろしくお願いいたします。
自分ではどうしようもないとき、願わずにはおれません。神仏におすがりすること、決して恥ずかしいことではないのです。

 1212年1月25日お昼ごろ、法然上人は80歳の生涯を閉じられました。その法然上人は、「智慧(ちえ)第一の法然房」と周りから呼ばれていました。あらゆる経典を読破し、あらゆる質問に対して完璧に答えていらっしゃったからです。けれども、当の法然上人はご自身のことを「愚痴(ぐち)の法然房」とおっしゃっていました。なぜならば、どれほど経典を読破しようと、どれほど戒律を守ろうと、どれほど修行をしようと、未だ覚りの境地に達することができなかったからです。謙遜からではなく、心から「自分はなんて愚かな人間なんだ」と痛感なさったのです。そんなとき、阿弥陀さまのみ教えに出会いました。「南無阿弥陀仏と申せば必ず救う」という大慈悲の御心に感涙したのです。「こんな私でも救っていただけるのだ」と阿弥陀さまにおすがりすることを誓われました。この時43歳、浄土宗の始まりです。以降37年間、法然上人は極楽浄土に生まれることを願い、お念仏一筋の道を歩まれたのです。

 極楽浄土には、愁い・悲しみ・苦しみ・悩み・怒り・寂しさ、身も心もかき乱すことは一切存在しません。立派な修行は多くありますが、極楽浄土へ生まれる修行は、お念仏行しかありません。法然上人が励まれた道、共々に励んでまいりたいと思うのです。

合掌